【出雲国風土記】照床神社(阿羅波比社)|天照御大神を祀る松江市黒田町の古社|嶋根郡・松江市黒田町
松江市黒田町に鎮座する照床神社(てるとこじんじゃ)。主祭神に天照御大神を祀る古社で、『出雲国風土記』の嶋根郡に記された「阿羅波比社」の論社の一つとされています。
ただし、近隣には現在も阿羅波比神社が鎮座しており、風土記の「阿羅波比社」がどちらの社を指すのかについては諸説があります。照床神社には風格ある木造の拝殿や本殿のほか、歳徳神、そして神仏習合の歴史を伝える神宮寺も残されています。
今回は現地写真と残された資料をもとに、照床神社の由緒と境内を紹介します。
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照床神社と『出雲国風土記』の阿羅波比社
『出雲国風土記』の嶋根郡には、多くの神社が神祇官に属する社と属さない社に分けて記されています。その中の一社として「阿羅波比社」の名が見えます。
「阿羅波比社」
現在、この阿羅波比社の比定をめぐっては複数の説があり、松江市黒田町の照床神社も論社の一つとされています。一方、近隣の松江市外中原町には「阿羅波比神社」という社名を現在まで伝える神社も鎮座しています。
そのため、照床神社を風土記の阿羅波比社と紹介する際には、「現在はこの神社に比定する説があります」「論社の一つとされています」とするのが適切でしょう。
現在の社名とは異なる古い名が風土記の中に残り、その比定が一つに定まらない点も、出雲国風土記掲載神社を巡る面白さの一つです。
御祭神と由緒|天照御大神を祀る照床神社
照床神社の主祭神は天照御大神(あまてらすおおみかみ)です。
創建年代は明らかではありません。残された資料では、1500年代終盤以前には「寺床神社」と呼ばれ、その後、現在の照床神社へと社名が変わったと伝えられています。
境内に立つ木造の拝殿は、蔀戸を備えた昔ながらの姿が印象的です。その奥には堂々とした本殿が建ち、地域の鎮守として長く守られてきたことを感じさせます。
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拝殿内部には神前へ向かう空間が整えられ、太鼓や「敬神生活の綱領」なども見ることができます。外観だけでは分からない、地域の祭祀が現在まで続いていることを感じられる場所です。
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本殿は大社造変態造と紹介される形式を持ち、拝殿とはまた違った力強い佇まいを見せます。横から眺めると屋根の形や高床となった社殿の構造がよく分かります。
境内を歩く|鳥居・歳徳神・神宮寺
鎮守の森に立つ鳥居
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鳥居の正面には拝殿が見え、周囲には大きな木々が残ります。住宅地に近い場所でありながら、境内に入ると鎮守の森らしい落ち着いた空間が広がっています。
道路側の入口と駐車場
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現在の入口周辺は道路や造成地に接しており、境内の古い景観と現代の街並みが隣り合っています。「照床神社駐車場」の案内も設けられているため、車で参拝する際の目印になります。
境内の歳徳神
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境内には歳徳神を祀る社も見られます。本殿・拝殿だけでなく、こうした境内の小社を一つずつ見ていくと、地域の中で受け継がれてきた信仰の重なりが感じられます。
神仏習合の歴史を伝える神宮寺
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照床神社で特に目を引くのが神宮寺です。
現地の記録には、案内板の表記で「天正二(一五七三年)」には照床神社境内に龍雲寺の末寺として神宮寺があったと記されています。明治維新以前まで御域内に龍雲寺末寺の神宮寺があり、その後は境外の小堂として残ったことも伝えられています。
御本尊は薬師瑠璃光如来。照床神社、龍雲寺、地域の有志によって維持され、昭和四十四年に再興された記録があり、さらに令和元年十二月には老朽化や周辺環境の変化を受け、総檜造りの建物として再興新築されました。
神社の境内に神宮寺の歴史が現在まで伝えられていることは、神道と仏教が長く共存してきた地域の信仰を知るうえでも興味深いところです。
照床神社の地形・立地|黒田町に残る鎮守の森
照床神社は松江市黒田町に鎮座しています。境内には樹木が多く残り、拝殿へ向かう鳥居周辺では昔ながらの鎮守の森を思わせる景観を見ることができます。
一方、道路側の鳥居周辺では造成や道路整備も進んでおり、古くからの境内と現在の市街地が接する場所となっています。神宮寺の案内にも周辺開発によって環境が大きく変わったことが記されており、現地を歩くとその変化を実際に感じることができます。
古社が変わらず同じ姿を保ってきたというよりも、周囲の環境が移り変わる中で、地域の人々によって神社と神宮寺が守られてきた場所と見ることができそうです。
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まとめ|阿羅波比社の論社・照床神社を訪ねて
照床神社は、天照御大神を祀る松江市黒田町の古社です。『出雲国風土記』嶋根郡に記された「阿羅波比社」の論社の一つとされますが、近隣には阿羅波比神社もあり、その比定には諸説が残されています。
木造の拝殿や堂々とした本殿、歳徳神、そして神仏習合の歴史を伝える神宮寺など、境内には長い時間の積み重なりを感じさせるものが残っています。
風土記の一行だけでは分からない歴史を、現在の境内を歩きながら確かめられること。それが照床神社を訪ねる大きな魅力ではないでしょうか。
アクセス・Googleマップ
照床神社は島根県松江市黒田町64に鎮座しています。道路側の鳥居付近には「照床神社駐車場」の案内があります。
照床神社 基本情報
| 神社名 | 照床神社(てるとこじんじゃ) |
|---|---|
| 所在地 | 島根県松江市黒田町64 |
| 主祭神 | 天照御大神 |
| 電話番号 | 0852-23-3849 |
| 公式サイト | 公式情報をご確認ください |
| 御朱印 | 授与状況は現地または公式情報をご確認ください |
| 駐車場 | あり(境内入口付近) |
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初掲載:2026年8月29日
最終更新:2026年8月29日
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