多賀神社(朝酌下社)|大橋川の鳥居と本殿のお面を訪ねて
松江市朝酌町の多賀神社(たがじんじゃ)は、『出雲国風土記』嶋根郡の「朝酌下社」に比定される古社です。また、同じく風土記に記された「朝酌社」に比定される朝酌上神社を合祀しており、二つの風土記社に関わる信仰を伝えています。
大橋川に面した鳥居から石段を上ると、木立の中に社殿が現れます。須佐之男命を主祭神とし、本殿に取り付けられた木彫りのお面や、姿の異なる狛犬も見どころです。
今回は2024年11月23日の参拝写真とともに、境内と川辺を巡ります。
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多賀神社と『出雲国風土記』の朝酌下社
多賀神社の鎮座地は、島根県松江市朝酌町970番地。『出雲国風土記』の嶋根郡にある神社の列挙には、次の社名が見えます。
大椅川邊社 朝酌社 朝酌下社 努那彌社 椋見社
出典:『出雲国風土記』嶋根郡・神社の条(原文を確認できる本文資料)。「朝酌下社」は、神祇官に属さない社を挙げる箇所に記されています。
現地案内板は、多賀神社をこの「朝酌下社」として紹介しています。古代の社名と現在の神社名は異なりますが、朝酌の地に伝わる信仰をたどる手がかりになります。
また、これとは別に記された「朝酌社」に比定される朝酌上神社も、多賀神社に合祀されています。
「朝酌社」は、下社と区別するために「朝酌(上)社」と整理される社です。原文には「上」の字はありません。風土記上は別々の掲載社ですが、現在の多賀神社には、両社に関わる信仰が伝わっています。
周辺の掲載社は、嶋根郡の神社一覧でもご覧いただけます。
御祭神と由緒|須佐之男命と神々をもてなす伝承
島根県神社庁の案内では、主祭神は須佐之男命(すさのおのみこと)です。現地案内板には、次の六柱が記されています。神名の表記は案内板に従いました。
- 須佐之男命
- 伊弉諾命
- 伊弉冊命
- 宇津名媛命
- 事代主命
- 大己貴神
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案内板によれば、歴代の国司から崇敬され、とりわけ松平氏の信仰が厚く、藩社として奉幣祈願が行われたとされます。例祭日は10月11日と記されています。
島根県神社庁の多賀神社案内には、須佐之男命が船で来られ、宮造りをされたという伝承が紹介されています。また、神在月に佐太神社での行事を終えた神々が立ち寄り、もてなしを受けるとも伝えられています。
川に向かって建つ鳥居を眺めると、こうした伝承と水辺の立地が重なって感じられます。今回の参拝は11月23日で、祭礼当日の記録ではありません。
社殿と境内を歩く
拝殿と「多賀神社」の扁額
拝殿は横に広がる屋根を持ち、正面に注連縄が掛かっています。頭上の扁額には「多賀神社」の文字。まずは社前で手を合わせ、その後に周囲を拝見しました。
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本殿と周囲に並ぶ社殿
拝殿の奥へ目を向けると、高い床を持つ本殿が見えます。正面からだけでは分かりにくい屋根や柱の姿も、角度を変えるとよく見えてきます。
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本殿に取り付けられた木彫りのお面
本殿を見上げると、軒下に四角い木彫りのお面が取り付けられています。松江観光協会の案内では、お面は六つあり、祀られている六柱の神様のお顔を表したものと伝えられています。
近くから見ると、眉や口元の表情がそれぞれ異なります。以下の写真では、向きを変えて見たお面の細部を紹介します。個々のお面がどの神様に対応するかは、ここでは特定していません。
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川辺の鳥居から石段へ
参道の入口は大橋川沿いにあります。川辺の鳥居から道路を挟んだ先に石段が続き、その上が社殿のある境内です。鳥居と川、石段の位置関係が、この神社らしい景観をつくっています。
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入口付近に立つ一対の狛犬
石段入口付近には、立ち姿の狛犬が一対。境内で見られる狛犬とは姿が異なり、参道の両側で参拝者を迎えています。
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境内社と小さな狛犬
本殿の周囲には、いくつかの境内社が鎮座しています。下の社の前には、小さな狛犬が一対置かれています。社名や祭神を確認できる資料がないため、写真で分かる姿を中心に紹介します。
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木製の扉を備えた別の境内社にも、注連縄と紙垂が掛けられています。さらに木々を背にした小祠もあり、境内を一周すると、拝殿の正面からは見えなかったお社に出会えます。
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尾を高く上げた境内の狛犬
境内には、頭を低く構え、尾を高く上げた狛犬も一対あります。入口の狛犬、境内社前の小さな狛犬と見比べると、姿や彫り方の違いがよく分かります。
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手水鉢・石鉢・社務所
境内には、柄杓を添えた手水鉢のほか、形の異なる石鉢も見られます。用途や来歴が分からないものについては、見た目だけで由緒を決めず、その姿を記録しました。
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社務所の入口脇には「多賀神社 社務所」と表示されています。授与品や御朱印などの対応状況は、参拝前に現地または関係先へご確認ください。
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大橋川と周辺の景観
境内から参道を振り返ると、石段の先に川辺の鳥居と大橋川の水面が見えます。木立に囲まれた境内と、開けた川の眺めの両方を味わえる立地です。
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川辺には「矢田龍宮神」と刻まれた石碑もありました。多賀神社との祭祀上の関係や詳しい由緒までは確認できていませんが、周辺の見どころとして写真を残しておきます。
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『出雲国風土記』は、朝酌周辺の渡しや漁、人々が集まる水辺の様子も伝えています。川と道のつながりに関心のある方は、嶋根郡の山野河川海岸通道もあわせてお読みください。
『出雲国風土記』を読んでみたい方へ
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まとめ|川辺の鳥居と本殿のお面に出会う参拝
多賀神社は、風土記の「朝酌下社」に比定される、朝酌の水辺に鎮座する古社です。須佐之男命を主祭神とし、神々をもてなす伝承も伝わっています。
大橋川沿いの鳥居、木立の中の石段、本殿の木彫りのお面、姿の異なる三組の狛犬。社殿への参拝に加え、周囲を歩いて細部を眺めることで、この神社ならではの見どころに気付かされます。
※記事内容には正確を期していますが、掲載情報に誤りや変更点がありましたら、お手数ですが 問い合わせフォーム からお知らせください。内容を確認のうえ、必要に応じて訂正いたします。
多賀神社の地図・基本情報
以下は2024年11月23日の参拝時に撮影した入口付近の道路です。正式な参拝者用駐車場や駐車可能範囲を示すものではありません。駐車は現地の案内に従ってください。
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| 神社名 | 多賀神社(たがじんじゃ) |
|---|---|
| 所在地 | 島根県松江市朝酌町970番地 |
| 風土記掲載郡・社名 | 嶋根郡・朝酌下社に比定 |
| 主祭神 | 須佐之男命 |
| 例祭日 | 10月11日(現地案内板・島根県神社庁による) |
| 電話番号 | 0852-39-0530(島根県神社庁掲載の連絡先) |
| 公式サイト | 公式情報をご確認ください |
| 御朱印 | 授与状況は現地または公式情報をご確認ください |
| 駐車場 | 現地案内をご確認ください |
| 参拝日 | 2024年11月23日 |
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