仁多郡 山野河川海岸通道

2021年2月20日土曜日

安来市 雲南市 奥出雲町 出雲国風土記 出雲神話 仁多郡

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仁多郡 山野河川海岸通道

船通山から流れる斐伊川

出雲国風土記 仁多郡 山野河川海岸通道

鳥上(とりかみ)山。郡家東南三十五里なり伯耆と出雲とのなり鹽味葛(えびかづら)あり

室原(むろはら)山。郡家東南三十六里なり備後と出雲との二なり鹽味葛あり

(はひ)()山。郡家東南三十なり

遊託(ゆた)山。郡家正南(まみなみ)三十七里なり鹽味葛あり

御坂(みさか)山。郡家西南五十三里なり。卽御門(みと)あり(かれ)御坂と云ふ備後出雲とのなり鹽味葛あり

志努坂野(しぬざかぬ)郡家(ぐうけ)西南三十一里なり。紫草少しくあり

玉峰(たまみね)山。郡家東南一十里なり。古老へにへらく、山嶺(みね)玉上神(たまのへのかみ)(いま)せまつる(かれ)玉峯と云ふ

城紲野(きずなぬ)。郡家正南(まみなみ)一十里なり紫草少しくあり。

大内野(おほうちぬ)。郡家正南二里なり紫草少しくあり。

菅火野山。郡家の正西(まにし)四里なり。高一百二十五丈(めぐ)一十里あり峯に神社あり

戀山(したひやま)。郡家正南二十三里なり古老の傳へに云へらく、和爾(わに)(鰐)、阿伊(あい)村に()す神、玉日女命(たまひめのみこと)(した)ひて(のぼ)りき()玉日女命(いは)()()へまししかば、え()はずして(した)ひき(かれ)戀山(したひやま)と云ふ

凡そ、(もろもろ)山野(やまぬ)る所の草木は、白頭公(おきなぐさ)藍漆(やまあゐ)高本(さはそらし)玄參(おしくさ)百合(ゆり)王不留行(かさくさ)薺苨(さきくさな)百部根(ほとづら)瞿麥(なでしこ)升麻(とりのあしぐさ)拔葜(さるとり)黃精(おほゑみ)地楡(あやめたむ)附子(ぶし)狼牙(こまつなぎ)離留(りる)石斛(いはぐすり)貫衆(おにわらび)續斷(おにのやがら)女委(ゑみくさ)(すもも)(すぎ)(かへ)(つみ)(つき)(きはだ)(かぢ)。禽獸には晨風(はやぶさ)山鷄(やまどり)(きじ)()鹿狐・莵・獼猴(さる)飛鼯(むささび)あり

(よこ)()川。源郡家(ぐうけ)東南三十五里なる(とり)(かみ)より出でて西に()はゆる斐伊()(のかは)(かみ)なり 年魚(あゆ)しくあり

(むろ)(はら)川。源郡家東南三十六里なる室原(むろはら)より出でてる。斐伊()大河(のおほかは)なり年魚麻須魴鱧(むなぎ)あり

灰火小川(はひびのをがは)。源灰火山より出でて斐伊河に入る年魚あり

()()川。源郡家正南(まみなみ)三十七里なる()()より出で、れて、斐伊河の上に入る年魚(あゆ)麻須(ます)あり。

阿位(あゐ)川。源郡家西南五十里なる御坂山より出で、斐伊河の上に入る年魚・麻須あり。

()()川。源郡家東南一十里なる(たま)(みね)より出でて意宇(おう)野城(ぬき)(かみ)なり年魚あり。

湯野(ゆぬ)小川(のをがは)。源は玉峯より出で西れて斐伊河の上に入る

通道(かよひぢ)飯石(いひし)なる漆仁川(しつにのかは)(ほとり)ふは二十八里なり。卽川邊(くすり)()あり一たび(ゆあみ)すれば身體(みぬち)()(はら)ぎ、(すす)げば(よろづ)消除(のぞこ)る。も、いたるも(わか)きも、(ひる)(よる)()まず、駱驛(つらなり)往來(かよ)ひて、(しるし)を得ずといふことなし。(かれ)俗人(くにびと)(なづ)けて藥湯と云ふ。卽正倉あり。

大原(おほはら)なる(ひの)(たに)通ふは、一十六里二百三十六歩なり

伯耆(ははき)日野(ひぬ)なる阿志毗緣(あしびえ)ふは、三十五里一百五十歩なり。常(せき)あり

備後(びんご)惠宗(ゑそ)なる遊託(ゆた)ふは、三十七里なり。常あり

同じ惠宗郡の堺なる比市山に通ふは、五十三里なり。常には剗なし。但、(まつりごと)あるに当りて、(かり)くのみ

            郡司 主帳  外大初位下 (ほむ)()()

               大領  外從八位下 蝮部臣(たぢひべのおみ)

               少領  外從八位下 出雲臣(いづものおみ)

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