【出雲国風土記】野白神社(野代社)|猿田彦命・天宇受売命を祀る乃白町の古社|意宇郡・松江市乃白町

2026年10月2日金曜日

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【出雲国風土記】野白神社(野代社)|猿田彦命・天宇受売命を祀る乃白町の古社|意宇郡・松江市乃白町

松江市乃白町の野白神社(のしらじんじゃ)を訪ねました。石段の先に随神門と拝殿があり、その周囲にはいくつもの社殿や小祠が建っています。『出雲国風土記』意宇郡の掲載社との関係を確かめながら、猿田彦命・天宇受売命を祀る古社の境内を写真でたどります。

参拝日:2024年4月7日。本文の境内描写と写真は、この訪問時の記録です。

🎥 動画でも野白神社を巡れます

拝殿・本殿・狛犬・境内社など、実際に参拝した写真で野白神社を紹介しています。 このページを読みながら、動画でも境内の雰囲気をお楽しみください。

▶ YouTubeで「野白神社」を見る

石段の先で迎えてくれる拝殿。大きな注連縄と木造の社殿が印象に残ります。
野白神社の拝殿正面と大きな注連縄
目次

野白神社の概要

野白神社は、島根県松江市乃白町779に鎮座します。島根県神社庁の掲載名は「野白神社」、読みは「のしらじんじゃ」です。資料によっては「のしろじんじゃ」と紹介されることもあります。

今回歩いた石段では、左右の石灯籠と狛犬、木造の随神門、その奥の拝殿へと視線が続きました。入口から奥行きを感じられる一方、境内に入ると社殿や小祠が近い距離に集まっていることが分かります。

『出雲国風土記』の記載と比定

『出雲国風土記』意宇郡の神社一覧には、同じ「野代社」という社名が二度現れます。公開本文から、前後の社名を含む部分を抜き出すと次のようになります。

宍道社、野代社、賣布社
〔中略〕
布自奈社、同布自奈社、野代社、佐久多社

出典:『出雲国風土記』意宇郡の公開本文(Wikisource)。上記は社名の抜粋で、〔中略〕は引用時に加えたものです。

乃白町の野白神社を、この「野代社」の一つに比定する説明があります。一方、「松江の神社」の風土記所載神社一覧では、野白神社に対応する風土記名を「野白社」として整理しています。「野代社」「野白社」の表記や現存社への対応は、参照する本文・注釈・比定資料を分けて見る必要があります。

また、現在の浜乃木の野代神社なども関連する比定候補として紹介されます。現在の社名が似ていることだけで、二度の記載を一対一に確定することはできません。ここでは、乃白町の野白神社を、風土記掲載社に比定される古社の一つとして紹介します。

風土記の神社一覧は社名を中心とした記録です。そこに記された社名と、現在の御祭神・社殿・遷座の伝承を、そのまま同じ時代の情報として扱わないことも大切です。

御祭神と由緒

島根県神社庁の野白神社紹介では、主祭神を猿田彦命・天宇受売命としています。同庁は御神徳を交通安全・厄除け・開運と紹介しています。

由緒については、乃木合戦の頃に舳田山(現在の田和山)で焼失し、現在地へ移ったと伝えています。これは神社の伝承として紹介されている内容で、現在の社地で奈良時代から同じ社殿が続いてきたという意味ではありません。

古い神社名を読むだけでなく、戦乱や遷座を経て信仰が受け継がれてきたことにも目を向けると、乃白町の古社を訪ねる意味が広がります。

境内・現地写真でたどる野白神社

石段と随神門

石段を上がった先に木造の随神門があり、門越しに拝殿が見えます。左右に並ぶ石灯籠と、石積みの上の狛犬も、境内へ向かう道筋の見どころです。

石段、随神門、拝殿が続く参拝の道筋。写真の人物にはプライバシー保護処理を施しています。
野白神社の石段と随神門、その奥の拝殿
門の近くで見られる狛犬。台座と石積みも含めて眺めたい姿です。
野白神社の石積みの上に据えられた狛犬

狛犬と「野白神社」の扁額

境内の狛犬を近くで見ると、口元や胴の形、石の表面の風合いがそれぞれ異なります。扁額には「野白神社」の文字が掲げられ、現在の社名を確かめることができます。

口を開いた狛犬。木々を背にした姿を近くから撮影しました。
野白神社の口を開いた狛犬
もう一方の狛犬。周囲の石灯籠や木立も写真に収まっています。
野白神社の石灯籠のそばに立つ狛犬
金色の縁取りと「野白神社」の文字が目を引く扁額です。
赤い地に野白神社と記された扁額

社殿の屋根と木組み

拝殿の周囲に回ると、奥の社殿の屋根や木組みを別の角度から見ることができます。千木や屋根の曲線、軒下の彫刻にも目が向きました。

境内には金屋子神社なども伝わり、社殿の取り違えを避ける必要があります。以下の二枚は建物ごとの名称を確定せず、撮影できた社殿の側面と位置関係として掲載します。

側面から見た社殿。木の壁面や軒下の彫刻を確かめられます。
野白神社境内の社殿側面に見える屋根と軒下の彫刻
社殿を別の角度から撮影。前後に重なる屋根と高床の構えが見えます。
野白神社境内で前後に重なる建物と高床の社殿

もう一つの社殿と大きな面

拝殿の近くには、注連縄を掲げた別の社殿もあります。「松江の神社」は境内社として金屋子神社と穀木神社を紹介していますが、写真の各建物との対応は、名称を確認できたものだけに限定したいところです。

大きな注連縄を掲げた社殿。手前の建物と接するように建っています。
野白神社境内の注連縄を掲げた別の社殿

さらに目を引くのが、木枠に納められた大きな面です。ふっくらした頬と柔らかな表情を近くから見ることができます。奉納の経緯や祭神との関係は確認できないため、ここでは訪問時に見られた境内の特徴として紹介します。

社殿だけでなく、こうした奉納物にも境内を巡る楽しさがあります。
野白神社境内で木枠に納められた大きな面

玉垣に囲まれた一対の石造物

境内の一角には、玉垣に囲まれた一対の石造物があります。「松江の神社」はこの一対を陽石として紹介し、道祖神や出産に関わる信仰との結び付きも伝えています。これらは信仰上の伝承として受け取り、医療上の効能を意味するものとは分けて考えたいところです。

左右に石灯籠を置き、玉垣で囲まれた一対の石造物です。
野白神社境内の玉垣に囲まれた一対の石造物

水鉢と境内の小祠

足元には丸みを帯びた石の水鉢があり、その表面には苔や年月の風合いが見られます。大きな社殿から少し視線を移すと、小さな社や祠も点在しています。

木の根元近くに置かれた水鉢。上面に水がたまっています。
野白神社境内の丸みを帯びた石の水鉢
木立を背に建つ小さな社殿。正面の格子戸が特徴です。
野白神社境内の格子戸を備えた小さな社殿
石の台座に据えられた小祠。後方には石造物も見えます。
野白神社境内の石の台座に据えられた小祠
緑に囲まれた岩の上の小祠。小さな注連縄が張られています。
野白神社境内の岩の上に建つ小祠と注連縄
石を積んだ台座の上に建つ小祠。周囲の地面や斜面も見えます。
野白神社境内の石積みの台座に建つ小祠

これらの小祠は、提供写真に社名や祭神を読み取れる表示がないため、名称を推測せずに掲載しています。一つずつ形や置かれた場所を眺めることで、社殿正面の写真だけでは分からない境内の姿が伝わります。

動画で野白神社を巡る

実際に参拝した写真を使って、野白神社の境内を動画にまとめました。 拝殿や本殿、狛犬、境内社などを「399社を一社ずつ巡る旅」として紹介しています。

出雲国風土記掲載神社|399社を一社ずつ巡る旅

乃白町の地形と立地

野白神社は乃白町の丘陵側にあり、石段を上がった先に門と社殿が建っています。現地写真でも、社殿の背後に木々と斜面が迫り、石積みで高さを整えている様子が確認できます。

田和山からの遷座を伝える由緒を読んだうえで、今の境内を歩くと、古社の歴史を一つの場所だけで捉えず、周辺の丘陵や集落と併せて考えるきっかけになります。

同じ意宇郡の歴史をたどる際は、意宇郡の地名と神々を紹介した記事もご覧ください。

『出雲国風土記』を読んでみたい方へ

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▶ 出雲国風土記を初めて読む人におすすめの本7選

まとめ

野白神社は、猿田彦命・天宇受売命を祀り、『出雲国風土記』意宇郡の掲載社に比定される古社の一つです。社名の表記や比定には資料差があり、現在の御祭神と古代の社名を区別して読むことで、歴史をより丁寧にたどれます。

2024年4月7日の参拝では、石段と随神門、拝殿の注連縄、狛犬、大きな面、一対の石造物、境内の小祠まで、限られた境内にいくつもの見どころがありました。大きな社殿だけでなく、その周りに残る信仰の姿にも目を向けたい一社です。

※記事内容には正確を期していますが、掲載情報に誤りや変更点がありましたら、お手数ですが 問い合わせフォーム からお知らせください。内容を確認のうえ、必要に応じて訂正いたします。

野白神社の地図・基本情報

神社名野白神社(のしらじんじゃ)
所在地島根県松江市乃白町779
掲載郡『出雲国風土記』意宇郡
御祭神猿田彦命・天宇受売命(島根県神社庁による)
電話番号0852-21-6252(島根県神社庁掲載の連絡先)
公式サイト公式情報をご確認ください。島根県神社庁の掲載情報
御朱印授与状況は現地または公式情報をご確認ください
駐車場現地案内をご確認ください
参拝日2024年4月7日

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