【出雲国風土記】飯石郡の郷里と驛家|須佐・熊谷…神話と地名をたどる|雲南市周辺

2021年2月16日火曜日

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【出雲国風土記】飯石郡の郷里と驛家|須佐・熊谷…神話と地名をたどる|雲南市周辺

出雲国風土記では、飯石郡(現在の雲南市周辺)に 郷7・里19が置かれていたと記録されています。
本記事では、各郷名について ①現代語要約②風土記原文(抜粋) の2段構成で整理しました。
※飯石郡条のこの箇所では、驛家(駅家)の数は明記されていません(本文に郷・里のみ記載)。

※比定地・現在の行政地名は諸説あります。現地の案内板や資料も合わせてご確認ください。

飯石郡の山並み(出雲国風土記ゆかりの山間風景)
飯石郡(雲南市周辺)の山間風景イメージ

飯石郡とは

飯石郡(いひしのこほり)は、古代出雲国を構成した郡のひとつで、現在の島根県雲南市南部~周辺山間に比定される地域と考えられています。
風土記本文には、須佐・熊谷など、神話や神名に結びつく地名由来が多く見え、山間の谷筋にひらけた集落と祭祀の重なりが読み取れます。

郷・里・驛家の概要

出雲国風土記によると、飯石郡には郷7・里19が置かれていました。
熊谷郷は「隈々しき谷」の伝承、須佐郷は須佐之男命の言葉と御魂鎮めの伝承が語られ、地名そのものが物語を背負っているのが特徴です。
※この箇所では驛家(駅家)についての数の記載が見えないため、本文に沿って「郷・里」を中心にまとめています。

7つの郷を一覧でみる

熊谷(くまたに)郷

懐妊した神が出産の地を求めて訪れ、「甚く久麻久麻志枳(隈々しき)谷なり」と語ったことが由来とされます。
現在の雲南市木次町(上熊谷周辺)に比定される説があります。

出雲国風土記の記載を読む(原文)

熊谷くまたにのさと郡家ぐうけ東北二十六里なり。古老へにへらく、久志伊奈太美等與麻奴良比賣くしいなだみとよまぬらひめのみこと任身はらみましてみこうまむとしたまひし時、みまさむぎたまひき、此の處に來到いたりましてりたひしく、「いた隈々くまくましき)なり」とのりたまひき。かれ熊谷くまたにと云ふ

三屋(みとや)郷

旧字は「三刀矢」。神の「御門(みと)」がこの地にあったとされ、神亀3年に「三屋」へ改名したと記されます。
現在の雲南市三刀屋町周辺に比定される説があります。

出雲国風土記の記載を読む(原文)

三屋みとやのさと。郡家東北二十四里なり所造天下大神あめのしたつくらししおほかみ御門みとち此の處にありかれと云ふ。神龜三年に、字を三屋と改む。卽正倉あり

飯石(いひし)郷

旧字は「伊鼻志」。伊毗志都幣命が天降り坐した地であるため「飯石」と号す、と記されます(神亀3年改名)。
現在の雲南市(三刀屋町周辺)に比定される説があります。

出雲国風土記の記載を読む(原文)

飯石いひしのさと。郡家正東まひがし一十二里なりのみこと天降あもししなりかれと云ふ。神龜三年に、字を飯石と改む

多禰(たね)郷

旧字は「種」。大穴持命と須久奈比古命が天下を巡行した際、稲種をこの地に落としたことが由来と記されます(神亀3年改名)。
現在の雲南市周辺に比定される説があります。

出雲国風土記の記載を読む(原文)

多禰たねのさと。郡家けり。所造天下大神大穴持命あめのしたつくらししおほかみおほなもちのみこと須久奈比すくなひのみことと、天下あめのした巡行めぐりたまひし稻種いなだね、此としたまひきかれたねと云ふ。神龜三年に、多禰と改む

須佐(すさ)郷

須佐之男命が「此の国は国処なり」と詔り、御魂を鎮め置いたと伝えられます。大須佐田・小須佐田を定めたとも。
現在の雲南市(須佐郷域周辺)に比定される説があります。

出雲国風土記の記載を読む(原文)

須佐すさのさと。郡家正西まにし一十九里なりかむ須佐能袁すさのをのみことりたまひしく、「ちさなれども國處くにどころなりかれ御名むなは、木石いはきけじ」とりたまひて、やが己命おのがみこと御魂みたましづひき。然して、大須佐田おほすさだ須佐田ひきかれ須佐と云ふ。卽正倉あり

波多(はた)郷

波多都美命が天降り坐した地であるため「波多」と云う、と記されます。
現在の雲南市周辺に比定される説があります。

出雲国風土記の記載を読む(原文)

波多はたのさと郡家ぐうけ西南一十九里なり。のみこと天降あもししところなりかれ波多と云ふ

來嶋(きじま)郷

伎自麻都美命が坐す地であるため「支自眞(きじま)」と云い、神亀3年に「來嶋」へ改名したと記されます。
現在の雲南市南部~周辺に比定される説があります。

出雲国風土記の記載を読む(原文)

來嶋きじまのさと。郡家正南まみなみ四十一なり自麻じまのみことせりかれ支自眞きじまと云ふ。神龜三年に、來嶋と改む。卽正倉あり。

出雲国風土記の記載(原文全体)

▼ 原文全文(クリックで開く)

飯石郡(いひしのこほり)

合はせて(さと)(こざと)十九。

 熊谷(くまたに)(のさと) 今も(さき)依りて用ゐる。

 三屋(みとや) (もと)()()()

 飯石(いひし) (もと)の字は()()()

 多禰(たね) (もと)の字は(たね)

 須佐(すさ) 今も前に依りて用ゐる。

  以上五、郷別(さとごと)(こざと)三。

()() 今も前に依りて用ゐる。

()(じま) (もと)の字は支自眞(きじま)

   以上二、郷別(さとごと)に里二

飯石(いひし)(なづ)くる所以(ゆゑ)は、飯石郷(うち)()()()()()(のみこと)()せり(かれ)飯石と云ふ

(以下、各郷の条文は上の「郷カード」に抜粋掲載)

アクセス(地図)

飯石郡は雲南市一帯の山間に広がります。まずは雲南市中心部(木次・三刀屋周辺)を起点に、各郷の候補地へ展開するのが回りやすいです。

※地図は「航空写真(ハイブリッド)」で表示されます。うまく切り替わらない場合は、右上の表示切替(地図/航空写真)をご利用ください。

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初出:2021年2月16日
最終更新:2026年1月26日
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