【出雲国風土記】御碕神社(御前社)|素盞鳴命を祀る洪水漂着の由緒を伝える古社|出雲郡・出雲市斐川町

2026年8月25日火曜日

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【出雲国風土記】御碕神社(御前社)|素盞鳴命を祀る洪水漂着の由緒を伝える古社|出雲郡・出雲市斐川町

島根県出雲市斐川町上庄原に鎮座する御碕神社(みさきじんじゃ)は、『出雲国風土記』出雲郡条に記された「御前社」に比定されるとされる古社です。

主祭神は素盞鳴命。社伝には、延宝二年(一六七四)の洪水で旧社地から流された社殿が今宮神社の境内へ漂着し、その場所に祀られるようになったという珍しい由緒が伝わります。

この記事では、風土記に残された社名と現地の由緒を確認しながら、拝殿・本殿・鳥居・境内社などを写真とともに紹介します。

出雲国風土記の御前社に比定される御碕神社の拝殿
御碕神社の拝殿。大きなしめ縄を掲げた落ち着きのある社殿です。
目次を開く
  1. 御碕神社の概要と『出雲国風土記』の記載
  2. 御祭神と洪水漂着の由緒
  3. 拝殿・本殿・鳥居・境内社
  4. 斐川平野に鎮座する御碕神社の立地
  5. 御碕神社のまとめ
  6. 基本情報・連絡先
  7. アクセス・Googleマップ

御碕神社の概要と『出雲国風土記』の記載

御碕神社は、出雲市斐川町上庄原の平坦な集落内に鎮座しています。現在の斐川町一帯は、古代の行政区分では『出雲国風土記』の出雲郡に含まれていました。

天平五年(七三三)に編纂された『出雲国風土記』の出雲郡条には、当地の神社として次の社名が記されています。

「御前社」

――『出雲国風土記』出雲郡条

この「御前社」が、現在の御碕神社に比定されるとされています。ただし、風土記編纂時の鎮座地と現在地が同じだったわけではなく、社伝では江戸時代の洪水を契機として現在地へ移ったと伝えられています。

古代の社名を伝える一方、自然災害による遷座の記憶も残していることが、御碕神社の大きな特徴です。

御祭神と洪水漂着の由緒

主祭神・素盞鳴命

御碕神社の主祭神は、素盞鳴命(すさのおのみこと)です。島根県神社庁では「神須戔鳴尊」と表記されています。

素盞鳴命は、八岐大蛇退治などの神話で知られる出雲ゆかりの神です。御碕神社では家内安全や産業発展の神として信仰され、地域の暮らしを見守ってきました。

島根県神社庁の神社情報では、御碕神社は日御碕神社の分社であるとも伝えられています。

延宝二年の洪水と現在地への遷座

現地の由緒板によると、御碕神社はもともと漆沼郷東南部、現在の上庄原西北端付近に鎮座していたと伝えられます。

ところが、延宝二年(一六七四)の洪水によって社殿が流され、上庄原村神田に鎮座していた今宮神社の境内へ漂着したといいます。

人々が御祭神をどこへ祀るべきか神告を待ったところ、今宮神社の社地に新たな社殿を建てて祀るよう告げられました。これにより、漂着した場所に社殿が建立され、現在の御碕神社へつながったと伝えられています。

この由緒は、斐川平野で繰り返された洪水と、災害後も御祭神を守り祀り続けた地域の歴史を伝えるものです。

拝殿・本殿・鳥居・境内社

大社造の姿を見せる本殿

拝殿の奥には、屋根の千木と勝男木が印象的な本殿が建っています。高床の構造や大きく反った屋根から、出雲地方の神社らしい大社造の姿を見ることができます。

素盞鳴命を祀る御碕神社の大社造本殿
御碕神社の本殿。高床の社殿と屋根上の千木・勝男木が目を引きます。

鳥居から望む拝殿と参道

石造りの鳥居をくぐると、平坦な参道の正面に拝殿が見えます。境内には樹木が多く、周囲の住宅地や田園から一歩入ると、静かで落ち着いた空間に変わります。

御碕神社の石鳥居と拝殿へ続く参道
石鳥居から見た参道と拝殿。社殿までまっすぐに視線が通ります。

境内社・豊栄神社

境内の木立の中には、豊栄神社と記された小祠が鎮座しています。規模は小さいものの、しめ縄や紙垂が整えられ、境内社も大切に守られていることが伝わります。

御碕神社境内の木立に鎮座する豊栄神社
御碕神社境内に鎮座する豊栄神社。木立に囲まれた小さな社です。

和田津見神を祀る一角

境内には「和田津見神」と記された案内板と石碑があります。洪水による遷座の由緒を持つ御碕神社において、水に関わる神が祀られていることも現地で確認できる見どころの一つです。

御碕神社境内に祀られる和田津見神の石碑と案内板
木立の下に祀られる和田津見神。石碑の前には幣が供えられています。

境内脇の「みさき文庫」

鳥居近くには、「みさき文庫」と書かれた小さな文庫があります。古社としての歴史だけでなく、神社の境内が現在も地域の日常に近い場所であることを感じさせます。

御碕神社の境内脇に設けられた地域の小さなみさき文庫
境内脇に設けられた「みさき文庫」。地域との近さを感じる風景です。

斐川平野に鎮座する御碕神社の立地

御碕神社の現在地は、斐川平野の田園と住宅が広がる平坦な場所です。境内にはまとまった樹木が残り、周辺からも社叢の存在がわかります。

現在地への鎮座は、延宝二年の洪水による社殿漂着の伝承と結び付いています。このため、現在の場所だけを見て風土記編纂時の景観を推定することはできません。

一方で、旧社地から流された社殿を新たな場所で祀ったという伝承は、水の影響を受けながら形成されてきた斐川平野の歴史を伝えています。

御碕神社のまとめ

御碕神社は、『出雲国風土記』出雲郡条の「御前社」に比定されるとされ、素盞鳴命を祀る古社です。

延宝二年の洪水で社殿が漂着し、その場所に新たな社殿を建てたという由緒は、斐川平野の自然環境と地域の信仰を今に伝えています。

大社造の本殿や正面の拝殿、豊栄神社、和田津見神、みさき文庫など、境内には古い歴史と現在の地域生活が静かに重なっています。

御碕神社の基本情報・連絡先

神社名 御碕神社(みさきじんじゃ)
風土記の社名 御前社
所在地 島根県出雲市斐川町上庄原526
主祭神 素盞鳴命(神須戔鳴尊)
御神徳 家内安全・産業発展
例祭日 11月8日
電話番号 0853-72-3255
公式サイト 島根県神社庁「御碕神社」
御朱印 授与の有無や対応日時は、参拝前に神社へご確認ください。
駐車場 神社前に2~3台程度の駐車スペースあり。現地の案内を優先してください。

アクセス

御碕神社は、出雲市役所斐川行政センターの南側に位置します。JR山陰本線・荘原駅からは車で約6分です。周辺は細い生活道路もあるため、車で訪れる際は歩行者や住民の通行に配慮してください。

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初掲載日:2026年8月25日
最終更新日:2026年8月25日

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