出雲郡 郷里驛家

2021年2月15日月曜日

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 出雲郡 郷里驛家

奉納山公園から三瓶山方面を望む

出雲国風土記 出雲郡 郷里驛家

出雲郡(いずものこほり)

合はせて(さと)八、(こざと)二十三。神戸(かむべ)一、里二。

 健部郷(たけるべのさと) 今も(さき)に依りて用ゐる。

 漆沼(しつぢ) (もと)の字は志丑治(しつぢ)

 河内(かふち) 今も前に依りて用ゐる。

 出雲(いづも) 今も前に依りて用ゐる。

 杵築(きづき) の字は寸付(きづき)

 ()() 本の字は伊農(いぬ)

美談(みだみ) 本の字は三太三(みだみ)

  以上七、郷別(さとごと)(こざと)三。

 宇賀郷(うかのさと) 今も前に依りて用ゐる。里二

 神戸(かむべ)郷 里二

出雲(いづも)(なづ)くる所以(ゆゑ)は、名をくこと國の如し

健部郷(たけるべのさと)郡家(ぐうけ)正東(まひがし)一十二里二百二十四歩なり。先宇夜里(うやのさと)(なづ)けし所以(ゆゑ)は、宇夜都辨命(うやつべのみこと)山峰(みね)天降(あも)()しき。卽()に至るまで此の處に()せり(かれ)宇夜里(うやのさと)と云ふ(しか)るにめて健部(たけるべ)(なづ)くる所以(ゆゑ)は、纏向檜代宮御宇天皇(まきむくのひしろのみやにあめのしたしらしめししすめらみこと)()りたまひしく、「()御子倭健命(やまとたけるのみこと)御名(みな)忘れじ」とのりたまひて、健部(たけるべ)ひき()神門臣古禰(かむどのおみこみ)健部ひき。卽健部臣等よりに至るまで、。猶此の處に()めり(かれ)健部と云ふ

漆沼郷(しつぢのさと)郡家(ぐうけ)正東(まひがし)五里二百七十歩なり神魂命(かみむすびのみこと)御子天津枳値可美高日子命(あまつきちかみたかひこのみこと)御名を、薦枕志都治値(こもまくらしつぢち)()しき。此(さと)(うち)()せり(かれ)志丑治(しつぢ)と云ふ 神龜三年に、字を漆沼と改たむ。卽ち正倉あり。

河内郷(かふちのさと)。郡家正南(まみなみ)一十三里一百歩なり斐伊()大河(のおほかは)、此の(さと)(かれ)河内と云ふ。卽(つつみ)あり。長一百七十丈五尺なり 七十一丈の廣さ七丈、九十五丈の廣さ四丈五尺なり。

出雲郷(いづものさと)。卽郡家()けり名をくこと國の如し

杵築郷(きづきのさと)。郡家西北二十八里六十歩なり八束水臣津野命(やつかみづおみづぬのみこと)國引き給ひし所造天下大神(あめのしたつくらししおほかみ)(つか)へまつらむとして、(もろもろ)皇神等(すめがみたち)宮處に參り(つど)ひて杵築(きづ)きたまひき(かれ)寸付(きづき)と云ふ神龜三年に、字を杵築と改む。

伊努郷(いぬのさと)郡家(ぐうけ)正北(まきた)八里七十二歩なり。國引()しし意美豆努命(おみづぬのみこと)御子

赤衾伊努意保須美比古佐倭氣命(あかぶすまいぬおほすみひこさわけのみこと)の社、(さと)(うち)()せり(かれ)、伊農と云ふ神龜三年に、字を伊努と改む。

美談郷(みだみのさと)。郡家正北九里二百四十歩なり所造天下大神(あめのしたつくらししおほかみ)御子和加布都努志命(わかふつぬしのみこと)天地(あめつち)めて(わか)れし天御(あめのみ)領田()(をさ)(つか)へ奉り()しき。卽()、郷の中に()せり(かれ)三太三(みだみ)と云ふ神龜三年に、字を美談と改む。卽ち正倉あり。

宇賀郷

(うかのさと)。郡家正北一十七里二十五歩なり。所造天下大神命神魂命(かみむすびのみこと)の御子、綾門日女命(あやとひめのみこと)(あとら)()しき()女神(めがみ)(うべな)ひたまはずし(かく)りたまひき。大神(うかが)()ひしの郷なり(かれ)宇賀と云ふ。卽海濱(うみべ)(いそ)あり腦礒(なづきのいそ)の名づく。高一丈(ばかり)生ひ(しげ)り、(いそ)に至る邑人(さとびと)朝夕(あさよひ)往來(かよ)へるが如く、()けるが如し(いそ)より西窟戸(いはと)あり。高各六尺(ばかり)なり。あり。人ることを得ず。きを知らず。夢に(ほとり)に至る(かれ)俗人(くにびと)(いにしへ)よりいたるまで、黄泉(よみ)黄泉(よみ)(なづ)くるなり

神戸里(かむべのさと)郡家(ぐうけ)西北二里一百二十なり 出雲(いずも)くこと意宇郡の如し。

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