玖夜神社(鞍掛社)|鞍掛の松の伝承と境内の小社を訪ねて
松江市国屋町の住宅地の奥に鎮座する玖夜神社(くやじんじゃ)。鞍掛社(くらかけしゃ)とも呼ばれ、『出雲国風土記』嶋根郡の「玖夜社」に比定される神社です。
木々の間を抜ける石段の先には、素戔嗚尊を祀る社殿があります。拝殿と本殿をお参りしたあと、淡島神社・市杵島神社、歳徳神や石碑を訪ね、国屋の氏神様の境内を歩いてみました。
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神社概要・出雲国風土記での記載
玖夜神社(鞍掛社)の所在地は、島根県松江市国屋町296番地。古代の嶋根郡にあたり、現在も国屋の氏神様として伝えられています。
『出雲国風土記』嶋根郡の、神祇官に属さない神社を挙げた部分には、次の社名が続いています。
比津社 玖夜社
同玖夜社 田原社
出典:『出雲国風土記』嶋根郡・神社条。『出雲国風土記』の原文はこちらから確認できます。
ここには「玖夜社」と、それに続く「同玖夜社」の二社が記されています。本記事で訪ねる国屋町296番地の鞍掛社は「玖夜社」の比定社です。近隣には切明社と呼ばれる同名の玖夜神社も伝わるため、参拝先を調べるときは「鞍掛社」と所在地を合わせて確認すると分かりやすくなります。
なお、この神社条は社名を列記したもので、現在の主祭神や「鞍掛の松」の伝承まで記した箇所ではありません。風土記の記載と、後世に伝わった由緒を分けて見ていきます。
御祭神と由緒・鞍掛の松
主祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)。境内の由緒板では「須佐之男命」と記されており、同じ神を異なる漢字で表しています。
島根県神社庁の玖夜神社紹介では、創立年代は不詳とされ、出雲国創立の功績を称えて祀られたと伝えられています。
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「鞍掛社」「久羅加気社」と呼ばれた神社
由緒板によれば、古くから国屋町の産土大神として祀られ、中古には「鞍掛社」、また「久羅加気社」とも呼ばれていました。土地の開発に関わる祖神として、五穀豊穣や家内安全の信仰を集めたと伝えています。
御神木として知られた「鞍掛の松」
同じ由緒板には、境内に「鞍掛の松」という古い松の大木があり、御神木として有名だったと記されています。「鞍掛社」という呼び名とともに、この神社を知る手がかりになる伝承です。
ただし、今回の写真に写る木々の樹種や、その松との関係までは確認できません。以下では、写真の木を「鞍掛の松」と決めつけず、境内の景観として紹介します。
由緒板には元旦祭1月1日、春祭3月19日、例大祭10月19日、秋祭11月29日と記されています。行事への参列を予定する場合は、開催内容を事前に神社関係先へご確認ください。
境内を歩く・現地写真
木々に囲まれた境内と石段
境内の手前から見上げると、木々の間に石段が延び、その先に拝殿が見えます。住宅地のすぐそばにありながら、社殿の周囲には緑が重なっています。
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石段脇の狛犬一対
拝殿の前では、一対の狛犬にも目を向けたいところです。石肌には苔や風化の跡があり、顔つきや前脚の形をそれぞれ見比べられます。
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拝殿の扁額と本殿
拝殿正面を見上げると、注連縄の上に「玖夜神社」の扁額があります。近くで見ると、木地に残る文字や注連縄の編み目がよく分かります。
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社殿の側方へ回ると、拝殿の後ろに続く本殿の姿を見ることができます。高い床を備えた木造の社殿で、屋根の上には千木と鰹木が見えます。正面からのお参りに加え、側面から建物のつながりを眺めると、社殿の構成がつかめます。
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淡島神社
本殿のそばには、小ぶりな木造の社が鎮座しています。正面の社名札には「淡島神社」と記されています。
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なお、由緒板の末社欄は「談島神社」とも読める表記ですが、ここでは現物の社名札に従い「淡島神社」として紹介しています。
市杵島神社
もう一方の小社は市杵島神社。正面の木札とともに、破風の下に施された彫刻も印象に残ります。
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歳徳神と、その脇の狛犬
歳徳神を祀る社もお参りしました。赤瓦の屋根を載せた建物の脇には狛犬が座っています。拝殿前の一対とは別に、この場所で出会った一体です。
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神名を刻む石碑と二基の石造物
境内には「天照大御神」と刻んだ石碑もあります。側面にも神名が見え、木造の社殿とは異なる形で祈りの場が設けられています。
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また、屋根形の上部を備えた石造物が二基並んでいます。正面には像が刻まれていますが、名称や祀られる対象を確かめられなかったため、ここでは姿を紹介するにとどめます。
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境内の大木・記念碑・水鉢
社殿の周囲には大きな木々が立ち、足元には根が張り出しています。小社と木を一緒に眺めると、境内が斜面と木立に抱かれた場所であることが伝わってきます。
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木立の中には「皇紀二千六百年記念」と刻まれた石碑があります。神社に残る近代の記念物として、社殿や小社と合わせて見ておきたい一基です。
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石の水鉢も残っています。自然な石の輪郭を生かしたような形で、くぼみに水をたたえていました。
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地形・立地と参拝のポイント
玖夜神社(鞍掛社)は、国屋町の住宅地に接する木立の中にあります。境内手前には開けた場所があり、そこから石段を上った一段高い位置に拝殿が建っています。本殿の背後や側方には斜面が迫り、小社もその地形に沿って配置されています。
石段と境内の根元まわりは、足元を確かめながら歩きたいところです。雨のあとは石や落ち葉が滑ることもあるため、歩きやすい靴での参拝をおすすめします。
写真に広場が写っていても、そこを自由に利用できる駐車場とは限りません。車で訪れる場合は、現地の案内や神社関係者の指示に従ってください。
掲載写真は、元画像の撮影記録では2024年11月23日のものです。境内の様子や掲示内容は、撮影時点の記録としてご覧ください。
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まとめ|国屋の氏神様と鞍掛の松の記憶をたどる
玖夜神社(鞍掛社)は、『出雲国風土記』嶋根郡の「玖夜社」に比定され、素戔嗚尊を祀る古社です。由緒板には、国屋の産土大神としての信仰と、御神木「鞍掛の松」の伝承が残されています。
石段を上って拝殿と本殿へお参りし、淡島神社・市杵島神社や歳徳神にも足を向けると、一つの境内にさまざまな祈りの場があることに気づきます。木々の間に残る石碑や水鉢まで、ゆっくり見て回りたい神社でした。
※記事内容には正確を期していますが、掲載情報に誤りや変更点がありましたら、お手数ですが 問い合わせフォーム からお知らせください。内容を確認のうえ、必要に応じて訂正いたします。
玖夜神社(鞍掛社)の地図・神社基本情報
- 神社名
- 玖夜神社(くやじんじゃ)/通称・鞍掛社(くらかけしゃ)
- 所在地
- 島根県松江市国屋町296番地
- 風土記の掲載郡・社名
- 嶋根郡・玖夜社
- 主祭神
- 素戔嗚尊(須佐之男命)
- 例祭
- 10月19日(島根県神社庁掲載)
- 連絡先電話番号
- 0852-23-3849(島根県神社庁掲載の神社関係連絡先)
- 公式サイト・公式情報
- 公式情報をご確認ください。島根県神社庁の紹介ページ
- 御朱印
- 授与状況は現地または公式情報をご確認ください
- 駐車場
- 現地案内をご確認ください
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