【出雲国風土記】とは|国の姿・神々・9つの郡構成と社399所
『出雲国風土記』は奈良時代(天平5年/733年)にまとめられた、古代出雲国の公式な地理・文化・信仰レポートです。 国の形、山や海、産物、神々が宿る場所、そして集落の呼び名まで、ものすごく細かく書かれています。
特に注目すべきは、神社が399社も記録されていること。そのうち 184社は「神祇官に在り」=国家公認の格式ある神社として扱われ、 215社は「神祇官に在らず」=地域の鎮守・生活の神として記されています。 これは当時の“信仰の地図”そのものです。
出雲国は9つの郡(郡=こおり)から成り、郡ごとに寺院と神社の一覧が載っています。 当ブログでは、各郡ごとに「風土記に出てくる神社名 → 現在伝わる社名」「所在地」「参拝メモ」をまとめ、 写真つきで順番に現地を訪ね歩いています。現地巡り・御朱印巡りの下調べに使ってください。
目次(クリックで開閉)
出雲国はどんな国だった?(ざっくり現代語)
風土記の冒頭では「東と南は山、 西と北は海に接している」と書かれています。 つまり内陸は山と谷、外側は海と水運。その地形のなかに、集落・港・祈りの場所が分布していたというイメージです。
また「山野・浜浦の場所」「鳥獣のすみか」「魚貝・海藻の種類」など、 資源・産物まで一通り列挙しようとした“調査報告書”でもあります。 地名の由来や神様の物語も書かれていて、ただの地誌ではなく神話と暮らしが地続きなのが出雲国風土記の面白さです。
そして国名「出雲(いずも)」がどう呼ばれるようになったのかも書かれています。 「八雲立つ」という有名な言葉は、ここに記された由来の一部です。
原文と読み下し(ルビ付きで掲載)
▼ 出雲國風土記 序文・国の総括的記述をひらく
東西一百三十七里一十九歩。
南北一百八十二里一百九十三歩。
(中略・距離計算のくだり)
老、枝葉を細思し、詞源を裁定す。亦、山野濱浦の處、鳥獸の棲、魚貝海菜の類、良繁多にして、悉には陳べず。然はあれど止むことを獲ざるは、粗梗槪を擧げて、記の趣を成しつ。
一百八十四所 神祇官に在り。
二百一十五所 神祇官に在らず。
九郡。郷六十二。里一百八十一。餘戶四。驛家六。神戶七。
意宇郡(おうのこおり) 郷十一 …
嶋根郡(しまねのこおり) 郷八 …
秋鹿郡(あいかのこおり) 郷四 …
楯縫郡(たてぬいのこおり) 郷四 …
出雲郡(いづものこおり) 郷八 …
神門郡(かむどのこおり) 郷八 …
飯石郡(いひしのこおり) 郷七 …
仁多郡(にたのこおり) 郷四 …
大原郡(おほはらのこおり) 郷八 …
出雲国の9郡(こおり)と、その役割
風土記には、出雲国は「九郡」から成ると書かれています。郡ごとに地理・産物・神社の性格がはっきり違います。
それぞれの郡には「寺院の一覧」「神祇官に属する神社」「神祇官に属さない神社」の3本立てがあり、当時の信仰の勢力図そのものです。
出雲国の9郡(こおり)と項目別リスト
各郡ごとに「寺院・神社」「郷里・駅家・神戸などの行政メモ」「山野河川海岸通道(川・山・海・産物の記述)」をまとめています。
気になる郡から読んで、現地参拝のルート決めに使ってください。
出雲国の9郡(こおり)と項目別リスト
各郡ごとに「郷里・駅家・神戸など行政メモ」「寺院・神社」「山野河川海岸通道(山・川・海・産物などの地誌)」をまとめています。
行政・信仰・地形がセットで見えるので、参拝や聖地巡りの計画に使いやすい構成です。
-
意宇郡(おうのこおり)
-
嶋根郡(しまねのこおり)
-
秋鹿郡(あいかのこおり)
-
楯縫郡(たてぬいのこおり)
-
出雲郡(いづものこおり)
-
神門郡(かむどのこおり)
-
飯石郡(いいしのこおり)
-
仁多郡(にたのこおり)
-
大原郡(おおはらのこおり)
巡拝・現地ルートの決め方
① 気になる郡のまとめ記事を開く(例:意宇郡・嶋根郡など)
② そこに載っている「神祇官に属する神社」や「地域の鎮守」のリストから、行きたい神社をピックアップ
③ 各神社の個別記事で、
・拝殿/本殿の写真
・境内社
・御朱印の有無
・駐車場の様子
を確認して、1日コースを決めるのが一番ラクです。
各郡記事の最後には「次に読みたい/関連スポット」を置いているので、隣の郡にもすぐ飛べます。 出雲国をまるごと歩く旅、ぜひどうぞ。

0 件のコメント:
コメントを投稿